いつかタクシー料金ががお得になるかもしれない?
ダイナミックプライシングとは

いつかタクシー料金ががお得になるかもしれない?ダイナミックプライシングとは

皆さん、普段タクシーに乗るときはどの様なシーンが多いですか?

私の場合、

「飲み会の帰りに終電は間に合ったものの、終バスには間に合わなかった。」

そんな、ありがちなパターンで利用することがほとんどです。

駅前のタクシー待ちの列に少し並びつつ、乗車。

「スムーズにタクシーに乗れてよかった。」
「あとは風呂入って寝るだけだな」

と、ふとタクシーメータをチラ見。

ビックリしている人の画像

あらびっくり、軽快に料金が跳ね上がっていくじゃありませんか。

もちろん夜22時を過ぎているので深夜料金が発生。

眠気も飛びます。
お小遣いも飛びます。

お札が飛んでいる画像

そんな時に私は思うのです。

「ああ、タクシーの料金がもっと安ければいいのに。」

というわけで、今回は将来的にタクシーの料金がお得になるかもしれない、
「ダイナミックプライシング」についてのお話です。

なお、早速の前言撤回ですが、
ダイナミックプライシングは常に料金が安くなる割引サービスではありません。

需要に応じて変動する仕組みですので、逆に深夜のタクシーは料金が高くなる可能性もあります。
事象ではダイナミックプライシングとは何かを解説します。

ダイナミックプライシングとは

ダイナミックプライシングを日本語に言い換えると
「価格変動制」、「変動料金制」といいます。

スマホを見ている人の画像

消費者である私たちの需要と供給に合わせて価格が変動していく仕組みです。

ダイナミックプライシングというと聞きなれないかもしれませんが、
実は私たちも以前から利用しているのです。

たとえば飛行機や宿の料金です。
年末年始やゴールデンウィーク、お盆休みといった繁忙期には値段が上がり、
閑散期には値段が安くなっているのはご存知だと思います。

その他にも居酒屋で開店直後に行くとお酒が安くなるハッピーアワーや、
映画館のレディースデー・シルバーデーなど様々です。
これも需要に応じて値段を変動させていく仕組み、ダイナミックプライシングなのです。

映画を見ている人の画像

意外にも馴染み深いダイナミックプライシングですが、AIを活用することにより
値段を決定する仕組みが進化してきました。

海外のタクシー(ライドシェア)業界ではダイナミックプライシングを導入する配車サービスが増えてきました。
そのため、日本のタクシー業界でもダイナミックプライシングを検討しようじゃないかという動きが出てきました。

タクシー業界でのダイナミックプライシング導入に向けた取り組み

書類の画像

タクシー業界での動きは2016年にまでさかのぼります。

2016年10月に全国ハイヤー・タクシー連合会が
「タクシー業界において今後新たに取り組む事項について」
という11項目の事業活性化案を発表しました。

この項目の一つにダイナミックプライシングも挙げられています。
ただ、タクシー運賃は認可制ですので柔軟に価格変動を行うことが難しく、
2018年度中に迎車料金での実証実験を行うという話になりました。

タクシー変動迎車料金の実証実験の実施

2018年、国土交通省が『変動迎車料金』という実証実験を実施しました。
いくつかの企業が実証実験に参画しましたが、その中でも日本交通グループでは
自社配車アプリである『JapanTaxi』の利用者に向け、地域限定で11:00から17:00までの
時間帯を閑散期と仮定した迎車料金が0円になる実証実験を行いました。

フリータクシーの画像

この実証実験の結果は本記事執筆時点では公表されていませんでした。
ですが、国土交通省では、実験結果を踏まえ2020年の秋に制度化を目指しているとのことです。

2020年以降のタクシー業界の取り組みについて

タクシーに乗っている人の画像

国土交通省は2017年~2018年にかけてタクシーの運賃に関わる様々な実証実験を行ってきました。
『変動迎車料金』をはじめとして『事前確定運賃』や『相乗りタクシー運賃』『定額運賃』などです。
それらの中でも事前確定運賃は2020年10月25日(金)に国土交通省に認可され、新たなタクシーの運賃料金体系となりました。

先に認可させれた事前確定運賃に続けとばかりに変動迎車料金と相乗りタクシー運賃、
定額運賃の3制度も2019年度中に道路運送法上の通達を改正する見通しになりました。
2020年秋にもこれらの新サービスを開始する見通しをしています。

タクシー業界としては迎車料金だけでなく乗車運賃自体も変動制にすることを国土交通省に求めています。
乗車運賃に関しては認可制の為、法改正が必要になります。
そのため、国土交通省はまず通達改正で導入が可能な変動迎車料金から実現させることにしました。

新制度を導入することとなった背景として、海外の配車サービスへの危機感などがあります。

車に乗ってタクシーを呼んでいる人の画像

海外では配車サービスが日本に比べて発達しており、乗車運賃にダイナミックプライシングを
取り入れたサービスも数多くあります。そのために、スピード感をもって国土交通省が
新制度の導入や改正を検討しているようです。

最後に

いかがでしたでしょうか。

23時42分にタクシーに乗り、乗車料金が安くなれと願っていた私。
タクシー業界がダイナミックプライシングを導入した後では、
むしろ乗車料金が上がっている可能性があるわけですね。

課金している人の画像

日本のタクシー業界におけるダイナミックプライシングへの取組は始まったばかりです。
ですが、制度の改正に向けて国土交通省とタクシー業界が一丸となって現在進行形で動きだしています。
まずは2020年秋以降に変動迎車料金がどのようなサービス展開になるかに注目です。

将来的に日本の制度が改正され、ダイナミックプライシングを導入した運賃が普及していくことで、
タクシーの利用が我々にとってより身近なものになり、タクシー業界が活性化していくといいですね。