新型コロナの影響でタクシーの荷物配送が活発化
新型コロナの影響でタクシーの荷物配送が活発化
タクシーで「人の輸送」だけでなく「貨物の輸送」もできるように
タクシーは「道路運送法」という法律で、旅客自動車運送事業の許可を受けたタクシーは
旅客運送に特化するように義務付けられている。
タクシーの暇な時間を使って荷物の配送をするようなことは、違法営業とされていた。
同じ車両を使って人も荷物も運ぶことを「貨物混載」と呼んでおり、それができるのは
自動車では乗り合いバスだけで、それも荷物の積載については最大重量350グラムという制限があった。
「貨物混載」の規制を緩和
2017年、国土交通省は「貨物混載」の規制緩和を真剣に検討し始め、
同年9月1日、貨物混載の規制緩和が実現された。
タクシー・トラックともに人と荷物を運ぶことも可能になったが、
これには但し書きで「過疎地域に限る」ついていた。
「過疎地域」とは人口が3万人に満たない市町村と定められ、
具体的な地名が各地方運輸局のサイトで公表されている。
その後、地方のタクシー会社が少しずつ参入し、
佐川急便やクロネコヤマトの配送委託をされるなどして少しずつ浸透していった。
規制緩和の狙い
狙いは大きく2つに分けられる。
1つは、ドライバー不足。国土交通省の集計では、2017年度の宅配便取り扱い個数は約42億5千万個で、
ネット通販の普及などの影響により、前年度よりも約2億個以上増えた。
それに対しドライバーの数は足りておらず、2018年度における運転手業の有効求人倍率は3倍以上に上った状況だ。
2つ目は、地方の公共交通機関の維持。過疎地域は公共交通機能が低下しており、
公共交通に新たな事業展開の道を開くことで、採算性を維持し、路線を維持できるようにとの意図がある。
新型コロナの影響により、都市部での貨物混載が解禁
在宅ワーク、ステイホームの影響により、外を出歩く人はめっきり減った。
繁華街でも飲食店は夜20時までとしている店が多く、夜の客も見られない。
そのため、タクシーの輸送人数は3月半ば頃からどんどん現象していき、
4月に入ると休業する会社も多く見受けられる。非常に深刻な状況だ。
国土交通省はその状況を少しでも好転させようと、4月21日、
非常事態宣言が発令されている地域に限り、貨物混載を可能とした。
当初は5月13日までとしており、申請したところで営業期間が短くタクシー会社にとって
あまりメリットが高い条件ではないため、実施を開始したのは大手のタクシー会社がメインだった。
しかし、8日に改正、期間を9月31日までとすることなった。
これにより、参入してくるタクシー会社は多少増えてくるかもしれない。
今後のタクシー業界
今回は新型コロナ影響下での都市部における貨物混載規制緩和ではあるが、
今後も地域の規制は緩和される可能性はあると思われる。
例えば、ウーバーイーツのようなサービスは都市部のみを対象としており、
東京都でも町田市は最近対応地域となったが、多摩市ではいまだに対応地域外の状況である。
タクシー会社が人と荷物の輸送を効率的に行えるシステムが構築されれば、
今後タクシーは「人を乗せる」だけでなく「荷物を運ぶ」仕事もすることがあたりまえになるかもしれない。